イランの脅威が差し迫っていると主張するトランプ政権は、これまでに中東に原子力空母や爆撃機の部隊などを派遣し、反発を強めるイランとの間で緊張が高まっています。
こうした中、CNNテレビなどアメリカの複数のメディアは22日、国防総省が、イランからの攻撃に備え中東に数千人の兵士を新たに派遣する計画を23日にもホワイトハウスに説明する見通しだと伝えました。
また、ロイター通信は、中東地域を管轄するアメリカ中央軍が国防総省におよそ5000人の兵士の派遣を要請しているとも伝えています。
ただ、新たな兵力の投入にはトランプ大統領の承認が必要となるため、実際に計画が承認されるかどうかはわからないということです。
イランをめぐって、野党・民主党やメディアからは、差し迫った脅威が本当に存在するのか疑問視する声が出ていますが、トランプ政権が新たな兵力の投入を決めれば、イランとの緊張がさらに高まることが懸念されます。
国連の安全保障理事会では22日、パレスチナ問題を扱う定例の会合が開かれ、500万人以上のパレスチナ難民に教育や医療、それに食料支援を行っているUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の活動が取り上げられました。
会合にはUNRWAのクレヘンビュール事務局長がビデオ中継で参加し、最大の支援国アメリカが資金を凍結したあと、日本を含む多くの国の追加支援で去年12億ドルの予算を計上して活動を続けたと説明しました。
そして「去年の寛大な対応をことしもお願いしたい。来月25日にニューヨークで開く支援国会合が重要な機会になる」と述べて、各国の継続した支援を訴えました。
各国からはUNRWAの活動を支持する発言が続きましたが、アメリカは、国連大使より格上でパレスチナ問題を担当するグリーンブラット特別代表が出席し、予算が無尽蔵に増え続け持続不可能だと指摘し、「UNRWAは失敗だ。金を巻き上げる盗賊だ」と激しく非難しました。
そのうえでグリーンブラット代表は、同じ6月にアメリカが主導してUNRWAとは別の枠組みでパレスチナの経済支援を協議する国際会合への出席を各国に呼びかけ、国連が主導する国際協調と一線を画す姿勢を鮮明にしました。
アメリカのポンペイオ国務長官はワシントンで22日、イスラエル大使館が開いた建国記念の催しであいさつし、アメリカ大使館をエルサレムに移転したことなど、トランプ政権が取ってきたイスラエルを支持する措置を改めて強調しました。
そして、「ホワイトハウスには、イスラエルとパレスチナの和平のためのビジョンがあり、ことし夏に公表する」と述べて、和平に向けた何らかの案を近く公表することを明らかにしました。
そのうえで、「パレスチナの人々にとって明るい未来につながる機会を提供するものだ」と述べて、新たな案はパレスチナに配慮したものだと強調し、和平交渉につながることに期待を示しました。
トランプ大統領は、イスラエルとパレスチナの和平交渉の仲介に意欲を示し、来月にはパレスチナの経済支援を協議する国際会議を開く計画も明らかにしています。
ただ、パレスチナはトランプ政権の極端にイスラエル寄りの政策に強く反発していて、トランプ政権が示す案で交渉を仲介できるのか注目されます。
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