アメリカのトランプ大統領は18日、ツイッターに「ムニューシン財務長官にイランへの制裁を大幅に強化するよう指示した」と書き込みました。
理由については明らかにしていませんが、サウジアラビアの石油関連施設が攻撃された事件について、アメリカはイランの関与を示唆していて、事件を受けた対抗措置の1つとみられます。
アメリカとイランをめぐっては、トランプ大統領がニューヨークでの国連総会に合わせて、今月下旬、イランのロウハニ大統領と首脳会談を行う意欲を示すなど対話に向かうのではないかという観測も出ていましたが、サウジアラビアの石油関連施設が攻撃された事件を受けて、トランプ大統領は首脳会談に否定的な考えを示しています。
アメリカがイランへの大幅な制裁強化に乗り出せば、攻撃への関与を否定しているイランが反発するのは確実で、両国の間で緊張が高まることが懸念されます。
サウジアラビアの国防省は18日、東部のアブカイクなどにある主要な石油関連施設への攻撃について、各国の外交団や国内外のメディアを集めて記者会見を開きました。
このなかでマリキ報道官は「攻撃は疑いもなくイランの支援を受けたものだ」と述べ、イランの関与を改めて強調しました。
マリキ報道官は攻撃に使われたとするドローンや巡航ミサイルの残骸を示しながら、ドローン18機、巡航ミサイル7発が使われたとしたうえで、ミサイルの形状がイランのものに似ていると指摘しました。
さらに石油施設の監視カメラの映像からドローンは北から飛来したと主張するとともに、被害が施設の北側に集中していることから「攻撃は北の方角からあった」として、イランが位置する方角からの攻撃だったという見方を明らかにしました。
またドローンについてはデルタ翼と呼ばれる三角形の翼の特徴から、ことし5月のパイプラインへの攻撃で使われた機体と同じものが使われたとして、この時の攻撃もイランが関与したという認識を示しました。
一方、アメリカのポンペイオ国務長官は18日夜、サウジアラビアのジッダを訪れてムハンマド皇太子と会談し、サウジアラビアの分析を踏まえて対応を協議しているとみられ、今後、どのような方針を打ち出すのかが焦点になります。
石油関連施設への攻撃に関するサウジアラビア国防省の発表について、イランのアシエナ大統領顧問はイランの関与を主張するには証拠が不十分だと反論しました。
アシエナ顧問はツイッターへの投稿で「彼らはミサイルやドローンがどこで製造され、どの地点から発射されたのか証明できておらず、わかっていないということが明らかになった」としています。
アメリカやサウジアラビアが攻撃へのイランの関与を主張しているのに対し、イラン政府はこれまで繰り返し関与を否定しています。
一方、サウジアラビアの石油関連施設への攻撃を主張するイエメンの反政府勢力「フーシ派」の報道官は18日、声明を発表し、サウジアラビアとともにイエメンの内戦に介入するUAE=アラブ首長国連邦を名指しで非難したうえで、「われわれはUAEの数十の標的をいつでも攻撃できる」と主張し、警告しました。
このなかで「フーシ派」の報道官は、UAEがイエメンへの関与をやめないかぎり、UAEのアブダビやドバイなどの高層ビル群や政府関連の重要施設への攻撃は避けられないとして、ドローンによる攻撃を警告しました。
ただ「フーシ派」はこれまでもUAEのドバイとアブダビの空港をドローンで攻撃したと一方的に主張したことがありますが、UAE政府は攻撃の事実自体を認めていません。
イエメンではハディ政権と反政府勢力の「フーシ派」の内戦が続き、サウジアラビアとUAEがハディ政権を支援して地上部隊などを派遣しているのに対し、イランが「フーシ派」を支援し、代理戦争の様相を呈しています。
サウジアラビアの石油関連施設への攻撃を受け、国際的な原油価格は供給への懸念から今週に入って急激に値上がりしましたが、日本時間のきのうサウジアラビア政府が「原油の供給が通常に戻った」と説明したことなどを受けて、値を下げました。
ただその後は大きな値下がりはなく、日本時間のきょう未明の時点ではニューヨーク原油市場のWTI、ロンドン市場の北海産の原油、いずれの先物価格も先週末に比べて5%程度、高い水準で取り引きされています。
アメリカのトランプ大統領は18日、ツイッターに「イランへの制裁を大幅に強化するよう財務長官に指示した」と投稿しました。
その後、トランプ大統領は訪問先のカリフォルニア州で記者団に制裁の内容について「48時間以内に発表する予定だ」と述べましたが、制裁の理由は明らかにしていません。
ただアメリカはイランがサウジアラビアの石油関連施設が攻撃された事件に関与していると主張していて、新たな制裁は事件を受けた対抗措置の1つとみられます。
これに関連してトランプ大統領はイランへの軍事攻撃の可能性について記者団に対し「やらなければならなくなればちゅうちょせずにやる」と述べましたが、同時に「戦争という究極の選択肢は考えていない」として、慎重な考えをにじませました。
アメリカがイランへの大幅な制裁強化といった対抗措置に乗り出せば、攻撃への関与を否定しているイランの反発が予想され、両国間のさらなる緊張の高まりも懸念されます。
アメリカのトランプ大統領がイランへの制裁を大幅に強化するよう指示したことについて、イランのザリーフ外相はツイッターに「アメリカがイラン国民への経済戦争をエスカレートさせていて、意図的に一般市民をターゲットにしている。これは経済テロで非人道的だ」と投稿し、強く非難しました。
来週、ニューヨークで開かれる国連総会には、イランからロウハニ大統領が出席して演説する予定で、イランの国営メディアは、今月20日にザリーフ外相が、23日にロウハニ大統領がアメリカに向けて出発する計画だと伝えています。
しかしイラン政府の関係者によりますと、ロウハニ大統領やザリーフ外相がアメリカに入国するためのビザが、現時点でアメリカ政府から発給されていないということです。
このためイラン側は出席の取りやめも検討しているということで、国連のグテーレス事務総長は18日、「この問題についてアメリカ側と協議しており、解決されることを望んでいる」と述べて、アメリカ側に対応を求めていることを明らかにしました。
アメリカのトランプ大統領は一時、国連総会に合わせてロウハニ大統領との初めての首脳会談の実現を模索していましたが、制裁の解除を要求するイラン側はこれに応じず、ここ数日はサウジアラビアの石油関連施設の攻撃をめぐって、イランの関与を主張するアメリカにイランが反発を強めるなど、両国関係が再び緊張しています。
トランプ大統領は18日、訪問先のカリフォルニア州で記者団からイランのロウハニ大統領がニューヨークに来るかどうか問われたのに対し、「私は本当に知らない。彼しだいだ。どうなるか見てみよう」とだけ述べました。
サウジアラビアの石油関連施設が攻撃されたことを受けて、アメリカのポンペイオ国務長官は18日、記者団に対し、イエメンの反政府勢力「フーシ派」が攻撃を主張していることについて「使用された武器はフーシ派のものではないと確信している」と述べました。
そのうえで攻撃はイランによるものだという見方を改めて示し「サウジアラビアに対する直接の戦争行為だ」と強く非難しました。
このあとポンペイオ国務長官はサウジアラビアのジッダに到着しムハンマド皇太子と会談しました。
アメリカとサウジアラビアは攻撃にイランが関与していると主張していて、アメリカ国務省によりますと会談ではイランの脅威に対抗するための各国との協力などについて協議したということです。
一方、ホワイトハウスは18日、トランプ大統領がイギリスのジョンソン首相と電話会談を行い、イランへの対応などについて協議したと発表しました。
トランプ大統領はこれに先立ってイランへの制裁を大幅に強化するよう財務長官に指示したことを明らかにしていて、事件を受けて今後、各国にもイランへの圧力を強めるよう求めるとみられます。
今月14日に行われたサウジアラビア東部の2か所の石油関連施設への攻撃について、サウジアラビアやアメリカはドローンなどが飛来した方角や現場で回収された残骸を分析するなどした結果、イランが攻撃に関与していると主張しています。
さらにアメリカのCBSテレビは18日、政府当局者の話として、イラク国境に近いイラン西部の基地で今回の攻撃の準備をしている様子を捉えた衛星写真が存在すると伝えました。
一方、イランは関与を完全に否定し、イランの影響下にあるイエメンの反政府勢力「フーシ派」は攻撃はみずからによるものだと主張しています。
またフランスのルドリアン外相は「国際的な調査の結果を待とう」と述べ、現時点で誰が関わったのかの言及を避けるなど慎重な見方を崩していません。
国連は18日、専門家チームを現地に向かわせて調査を行うと明らかにし、サウジアラビア政府も協力する意向を示していることから客観的な事実の解明につながるのか注目されます。
この問題は先月、東京で行われた柔道の世界選手権で男子81キロ級に出場したイラン代表のサイード・モラエイ選手がイランの政府や柔道連盟などから試合を棄権するよう繰り返し圧力を受けたと訴えたものです。
モラエイ選手は勝ち上がった場合、決勝でイランが国家として認めないイスラエルの選手と対戦する可能性がありましたが、準決勝で敗れました。
この問題を受けてIJFの懲戒委員会は18日、2004年のアテネオリンピックでも同様の棄権があったことなどをあげたうえで、イラン柔道連盟が「IJFの理念や価値観、目的に繰り返し背いてきたのは明白だ」などと指摘し資格停止の処分を決めました。この処分でイラン柔道連盟はIJFや関連団体が主催する国際大会などへの参加ができなくなりました。
IJFによりますとイラン柔道連盟は、この処分に対して不服がある場合、通知を受けてから21日以内にCAS=スポーツ仲裁裁判所に申し立てができるということです。
イスラエルの総選挙は、10年にわたるネタニヤフ政権が交代するかどうかを最大の焦点に17日に投票が行われました。
その結果、開票率91%で、ネタニヤフ首相が党首を務める右派政党「リクード」と、軍の元参謀総長、ガンツ代表が率いる中道会派「青と白」が第1党の座を争っていますが、獲得議席はいずれも4分の1程度にとどまる見通しです。
また与党リクードが現在より大きく議席を減らした結果、連立与党全体でも過半数に届かないことが確実になったため、ネタニヤフ首相はみずからの続投に向けて、野党側を取り込んだ新たな連立の枠組みを目指す方針を明らかにしました。
しかし野党側の「青と白」のガンツ代表はネタニヤフ首相の汚職問題を理由に辞任を要求していて、ネタニヤフ首相による続投に向けた連立交渉は難航が避けられない情勢です。
最終的な開票結果は19日にも発表され、これを受けてリブリン大統領が各政党の意向を踏まえて連立政権を樹立できる可能性が最も高いと判断した政党の代表に組閣を要請することになり、ネタニヤフ首相に再び要請するのかどうかが注目されます。
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