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『双葉山定次 相撲求道録』
P85

 相撲の技は、いまさら申すまでもないのですが、頭で考えるだけでは駄目なのはもちろんのこと、頭で考えてそれから技がでるというのでも、駄目なのです。たとえば、「上手投げ」をかけるとします。「上手投げ」をかけようと思って、それからその技がでるようでは問題になりません。こうと思った瞬間には、もう技がでているのでなければなりません。これは相撲だけにかぎらぬことかも知れませんが、相撲は勝負が瞬間のあいだに決着する競技であるだけに、この一点が大切な問題となるのです。「心身一如」とでもいいましょうか、自分の意識と自分の身体とが、一枚になりきるのでなければ、勝を制することはむつかしいのです。
 相手の「隙」をつかむことは勝負のうえに肝要このうえもないことですが、さてその「隙」は、眼で知るのでなく、こちらの体で感得すべきです。自分の修錬がつんでくると、相手の身体的ないし心理的な動きは、ただちに自分の身に感応されるものです。

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