【私のおしゃれ学】歌舞伎俳優 市川右近 賢明に演じて見える 生きる信条
タケルは征伐のたび、なぜ闘い、人を殺すのか、苦悩して成長する人間くささを持っている
生涯を通じて何か大きなものを追い求めてきたタケルが、最期に語る名台詞(せりふ)「天翔(あまが)ける心、それがこの私だ」は、歌舞伎界で革新的な活動を続ける猿之助自身と重なり、90万人の感動を呼んできた。
その2年後、「天翔ける心」について猿之助に尋ねた。「『あなたは実践してないから、分からないだろうね。人生における啖呵(たんか)なんだよ』って言われました」
シラノ・ド・ベルジュラックが(絶命直前、あの世に持ってゆくものを)『私の羽根飾り(こころいき)だ』と言うんです
何かに突き動かされ、懸命に演じてこそ初めて見えてくる「天翔ける心」。「それはなぜ生きるのかに通じると思うけれど、明確ではありません。それでも天翔ける心を持ち続けたいし、それがお客さんに喜んでいただけることにつながる」