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『西郷南洲遺訓講話』
P53

 元来正義人道といふのは弱者の声で、之れを貫くには、強者を圧する丈けの気魄と力がなければならぬのぢや。強国にして正義、即ち南洲翁がいはれたやうに、広く弱小国を憫れんで、それぞれ文化を進めしむるのが、之が国を為すの理想といふものではないか。ただ人の国を征伐して、之を掠奪し、苛斂誅求して他の弱小国民を苦しめる丈ならば、何も国家を作つて居る必要はないのぢや。山賊でも剽盗でも、何でも構わぬ。勝手放題に切取強盗をすればよいのぢや。苟くも坤輿に国する以上、人間らしい道を踏み、天下後世に恥ぢない立派なものにしなければならぬ。