東京大学教授 西垣 通
情報爆発しつつあるインターネット文明に、最も求められていることは何だろうか。それは、機械的データの大洪水から我々を救いだし、ヒトという生物の生存能力を高めるための「知恵の手だて」としてIT(情報技術)を位置づけ直すことである。
<中略>
大量生産・大量消費の経済メカニズムのもとで、個人はぎりぎりまで生産効率向上を求められる。消費者は自由意思で商品を選んでいるようだが、実は購買意欲をたくみに誘導操作されているにすぎない。そういうなかでストレスのあまりつぶれる人間もでてくる。
<中略>
ウェブのなかでいつもの自分とは違う人格を演じてみるというのは、一時的にせよ、そういう抑圧から逃れるための方便なのだろう。