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日本の伝統芸能 歌舞伎入門(4)「十五代目仁左衛門として生きて」

片岡仁左衛門
とにかく、観察力を養う。うーん。そして、想像力。イマジネーション。それと、物を創る、創造力。その両方のそうぞうりょく。そして、自分のアンテナを磨くことですよね。そして、感動する心を忘れないこと。それを身に着けて欲しいですよね。そして、そういうのがあれば必ず、って私は思うんですけど、人に欲せられる人間になれる。役者でもお客様が喜んで下さるような役。で、役者仲間が、あの人にこの役してほしい。ポジションはどこでもいいんです。もうどんな役でもいいですから、ああ、あの人にこの役してほしい。やってくれれば非常に芝居が面白くなる。言われる役者。それにはもう、自分に厳しく、自分を磨くしかないんですよね。勿論、褒めて頂くことも大事ですけど、褒められて喜んでたらダメなんですね。喜ぶ心も大事ですけど。とにかく自分に厳しく。その心を忘れないで欲しいですね。


高橋美鈴
今、技術的なことではなくて、心のことを仰いましたね。


片岡仁左衛門
そうです。技術はある意味では心の枝葉ですよ。


黛まどか
お話を伺ってますとね、俳句の世界にも共通する、もう殆ど共通することなんですね。まず、もう自分のアンテナを磨くこと。感動する心を持ち続けること。そして、ま、というものがあるんですけど、古い器は引き継ぎながら、しっかりとその型を引き継ぎながらも、今という素材をその器に盛っていく。そういう部分では日本の伝統というのは、色々共通していることがあるなと思います。


片岡仁左衛門
そうですねえ。古典物を愛さずして新しいものを愛するではダメだと思うんですよね。古いものを愛して新しいものを愛する心がないと。やっぱり、足下をまず見つめる。そして、新しいものを受け入れる。その精神忘れて、「わあ、それは昔、それは古い。今はこれだ。」というのは僕は間違いじゃないかなあと、僕は思いますけどねえ。


黛まどか
故きを温ねて新しきを知る。


片岡仁左衛門
ホントに「温故知新」ていうんですか。ホントにそれですよねえ。