【首相会見詳報(1)】「温暖化対策、政治的プロパガンダの余裕なし」
私たちが200年以上前の産業革命の功績に感謝するがごとく、今度は逆に200年後の「将来世代」が今の私たちをどのように振り返るのかが問われています。こうした歴史の変遷の上に立って、私は本日、「地球温暖化問題」についてお話をさせていただきます。
今こそ、私たちは産業革命後につくりあげられた化石エネルギーへの依存を断ち切り、「将来の世代」のための「低炭素社会」へと大きく舵を切らねばなりません。
第1に、低炭素社会への移行は「新たな経済成長の機会」ととらえるべきです。温暖化対策は、新しい需要を生み、新しい雇用を生み、新しい所得を生み出します。
第2に、低炭素社会を実現するためのヒントは、実は「わが国の良さ、伝統」のなかに既に存在しています。
こうした点を踏まえれば、私たちは尻込みする必要はありません。今こそ、大きな自信を持って、低酸素社会に向けた第一歩を踏み出すべきときです。
私が考えた具体的な政策は大きく4つの柱からなっています。1つは革新技術の開発と既存先進技術の普及、2つめは国全体を低炭素社会へ動かしていくための仕組み、3番目は地方の活躍、そして4番目に、国民主役の低炭素化です。
特に、最近まで日本のお家芸であった太陽光発電の普及率で、現在ドイツの後塵(こうじん)を拝していますが、太陽光発電世界一の座を奪還するため、導入量を2020年までに現状の10倍、2030年には40倍に引き上げることを目標として掲げたいと思います。そのためには電気事業者による世界最大級のメガソーラー発電の全国展開に加え、新築持ち家住宅の7割以上が太陽光発電を採用しなければならない計算となります。
EUでは2005年から域内排出量取引制度が始まっていますが、わが国としても、いつまでも制度の問題点を洗い出すのに時間と労力を費やすのではなく、むしろより効果的なルールを提案するくらいの積極的な姿勢に転ずるべきというのが私の考えです。