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ひとインタビュー ジリアン・マーフィーさん

オデットのときは自分をさらけ出して、純粋で繊細でありながらも、複雑で深い感情に満ちた彼女の「善」の心情を表現したい。一方、オディールでは官能的で華麗でありながらも、駆け引きのある、ゆがんだ「悪」の面をいかに表現するかが大事だと思っています。

どんなふうにその役を演じ、踊るかを決めておきつつ、本番では同時に、音楽を聴いた瞬間に感じたものをそのまま出すことも忘れません。それだけ豊かな感受性もバレエには必要なのです。絶対に、前にやったことをなぞってはいけないと思っています。

私が今なお追求し続けているのはテクニックではなく、あくまで自身の芸術性なんだと思う。これまで自分が体験してきたことや物事の考え方、音楽を聴いて感じたものなどすべてを、一瞬にしてバレエという手段を使って、自分にしかできない発想で表現する。それに挑戦し続けている感じですね。

すばらしい先生に恵まれ、感謝しているし、ABTのダンサーから刺激されることも多いです。でも、他の人は私を手助けできても、どんなバレエを踊るかは私自身の選択で決まっていくもの。踊っている瞬間に「自分」が存在するように、いかに全身全霊で立ち向かい、いかに自分をさらけ出していくか。それしかない。アーティストとはそういうものだと思います。

質問2
こだわりがある、という生き方をしていると思う人を挙げてください

ABT のプリンシパルであり、プライベートでもパートナーのイーサン・スティーフェルかな。付き合い始めて10年になります。彼は私にとって人生そのもの。生涯かけて愛をささげたい男性です。とてもユーモアがある人で、面白くて。いつも一緒にいて驚かされます。彼は私の人生の軌跡、個性をとても尊重してくれます

質問3
人生に影響を与えた本は?

ヘルマンヘッセの「シッダールタ」。青年シッダールタが、人生の真理を求めて修行し、人生の悟りの境地にいたるまでを描いた小説です。自分の人生の旅路を歩んでいけば、おのずと自身が満たされるところにいけるものなのだと教えてくれた1冊です。