機敏に対処しているようにみえるが、この人の政治感覚や財政改革は見当違いなのではないか。
なぜこのような見当違いをするかといえば、首相は政・官癒着の体制がいかにひどいかを全く理解していないからだ。
首相や閣僚の指示に官僚が従うなら、臨調以来この27年間の努力は全く不要なのだ。
一内閣の指示など聞いた振りをして嵐が過ぎるのを待てば官僚の利益は永続する。
麻生氏や与謝野氏が増税をいうことは勇気ある行動のように見えるが、官僚制度について無知すぎる証拠でもある。
小泉、安倍晋三両元首相が「上げる」といわなかったのは、財政需要が逼迫(ひっぱく)すれば官僚は自ら「離れのすき焼き」を母屋に持ってくることを知っていたからだ。
漆間巌官房副長官は「天下りしてどこが悪い」と嘯(うそぶ)いたそうだが、こういう発想が日本の政、財、官界を腐敗させているのだ。
政・官の利権構造の絶滅、年金記録漏れ問題に見る官僚制度の無責任を解消しない限り、国民は増税話に耳を傾けるわけがない。麻生氏や与謝野氏にはその自覚が全くない。