https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

【公教育を問う】第8部(4) 教養教育「生き方の軸作るもの」 西澤潤一・首都大学東京学長に聞く

今の日本の政治家には自分の考え方がないといわれるが、それは借り物の知識をあちらこちらから集めているからで、自分自身の軸がない。そうした生き方では、互いに人間が信じ切れなくなってしまう

 「自主性が必要だ。ハウツー本を買ってきて自分の人生観を作ったら、すぐに崩れてしまうだろう。自分の人生を支える一本の釘が思春期時代に芽生える。私が旧制高校に入ったころは、勉強をすると先輩からしかられた。専門ばかりの知識ではだめだ、自分がどういう生き方をするかをまず考えろと。借り物の知識でなしに、これは信じられるというものをつかみながら生きていくということだ」

 「小さいうちに覚えるべきことを覚えさせなければいけない。昔は小学校は読み書きそろばんなど基本的な知識をきちんと教えられたから、後になって才能がまんべんなく伸びた。また、小学校では国史を、中学校ではその上に東洋史西洋史、英語などを学び、基本的な教養を身につけた。その上で高校に入ると、ちょうど異性を意識し始める時期でもあり、いかに生きるべきかという人間として基本的な問いかけが出てくる。そうした人間成長の非常にスムーズな流れができていた」

 「中学時代はすごい先生がいて、夏休み冬休みに漢文の教科書を全部筆で丸写しさせる。ふりがなも返り点も入れさせない。それを学校に持ってきて、教科書は机に入れたまま、白文調で勉強する。それで漢文が白文で読めるようになった。基本的に大事なものについては、そこまで教えた。

 当時は弁当を持ってこられない生徒もいた。教師はそうした生徒に自分の弁当を分けてやっていた。生徒は教師を尊敬し、教師も尊敬に足ることをしていたということだ」