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大前 研一氏 金融大地震に世界がやるべきこと、日本ができること(4)

 「案の定」というべきか、自動車はマイナス25.2%と大きく落ち込んでいる。なるほど、ビッグスリーの苦境を側面から証明するような数字だ‥‥というのは早計で、実はここからもう一つ読み取るべき情報がある。それは、米国民が(遅まきながら)収入に見合った生活を志向するようになった、という事実である。

 実のところ、米国で自動車の売上高が対前年比で60%や70%下がろうが、誰も不便はしていないのである。

 一方、彼らが身の丈にあった生活をするということは、米国の浪費で潤ってきた「その他世界」もまた身の丈にあった生産をする、ということである。お互いにこの調整には時間がかかるが、失業などで苦しむのは「その他世界」の方がきついだろう。

 日本では2007年に土地のミニバブルがあったが、東京圏および都心部の地価変動率の推移を確認してみると、都心の一部で50%程度、東京圏で見ると20%程度の上昇に過ぎない。世界の主要都市と比べて見れば大したバブルではなかった。それでも一昨年2007年の7月に金融庁は、特に不動産の値上がりが懸念されるということで、金融検査の厳格姿勢を打ち出した。このため銀行は不動産融資に慎重になり、融資額も減少した。2008年になって倒産する不動産・建設業者が相次いで現れたのは、実はこの影響が大きい。

 いや、実のところ件数的にはそれほど倒産が増えたわけではない。しかしここで特筆すべきは黒字決算で倒産した企業が多いということだ。なぜ黒字なのに倒産するのかというと、銀行が融資しないため、資金繰りが悪化するからである。銀行は企業の経営内容を見て貸すか貸さないか判断しているわけではない。銀行にとっては絶対的な存在である金融庁が「不動産には貸すなよ」と言うから貸さないのだ。

 銀行は中小企業への融資を渋る一方で、大企業には貸し出しを増やしている。金融庁の指導がそれを促しているからだ。

さあ日本企業は今後なにをすればいいのか。ズバリ、海外に行くしかない。

政府の関連機関である国立社会保障・人口問題研究所のウェブサイトには、1年ごとの人口分布の変化を丁寧に動画で見せるページがある。

日本のデモグラフィーを変える要因があるとしたら、スペイン風邪のようなインフルエンザが大流行して1000万人死ぬとか、戦争とか、あるいは移民といったものしかないのである。

 高齢化する日本にまったくいいところがないかというと、必ずしもそうではない。日本の良さはなにかというと、「低成長」「失われた15年」などと言いつつも、金だけはためてきたということだ。

 まずは国家ファンドを作り、日本の積年の悩みであるエネルギーや資源などを積極的に買うべきである。

 こうして日本が世界の主要産業・主要企業を所有した時点で「我々は皆さんと共に繁栄し、世界経済のターンラウンドをお手伝いしましょう」とリーダーシップを発揮するのだ。

1.相続税贈与税を2年間だけゼロにする

2.21世紀にふさわしい都市づくりを行う

3.統治機構の改革、道州制への移行

一人のリーダーが出てきてこうしたことをやれば、日本はガラッと変わるのだ。そして日本は、変わるための手段(資金や技術)をすべて内側に持っていて、外国から借りてくる必要がない。現在、こういう国は日本だけである。

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