待ったなしの郵政改革の芽を摘みかねない麻生発言の罪|経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”|ダイヤモンド・オンライン
「信念のある政治家なら、意思を明確にすべきだった。それなのに、サインしたのですか」
と皮肉っても、麻生首相は一向にその意味を理解できなかった。そして、
「最後まで(サイン)しなかったため、揉めた」
と逆に胸を張って見せたのだ。
だからこそ、小泉・竹中コンビが進めた郵政民営化が今なお気に入らず、「私は外されていた」と言い続けているわけだ。
そして、総務大臣の椅子は、信念を曲げてでもしがみつくべき大切な地位だったと考えていたというのである。
今、選挙管理内閣の首相としてバトンを受けながら、内閣支持率が歴史的な低水準に低下してしまったことから、本来の使命に平気で目を瞑り、首相の座に居座る麻生太郎首相の原点がここにあったというわけだ。
もちろん、問題が、もともと郵便、郵便貯金、簡易保険の3事業で構成されてきた郵政事業を、無理やり4事業会社に再編した現行の制度設計哲学にあった可能性は大きい。
ただ、この問題には、郵政3事業の一体営業のうまみを失った特定郵便局長らの権限回復の野望や、その特定局長や労働組合の組織票の取り込みを目論む与野党の思惑が複雑に絡んでいることにも注意が必要だ。