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ペテン師と「大圧縮」と――オバマ大統領は市場から国家へ急旋回(1)

 市場=資本主義が機能マヒに陥った以上、国家が前面に出るのは当然だろう。ただし、国家の膨張はタダではない。2008年度の米国財政収支は4550億ドルの赤字だったが、オバマ大統領の新年度はその赤字幅が1・2兆ドルに拡大する。GDP比8・3%は第2次大戦以来最悪だ。

 新大統領はどんな「手」を用意しているのだろうか。ヒントは、ノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン教授にある。著書『格差はつくられた』の中で教授は、フランクリン・ルーズベルト大統領がニューディール政策と並行して、「大圧縮」を断行したことを明らかにしている。

 この税制改革と戦時下の賃金統制(最低賃金の底上げ)が相まって、1950〜60年代、「米国史上、例外的な中産階級の社会」が実現した。米国版「三丁目の夕日」の時代である。「規制や制度のほうが、市場の力よりもはるかに所得分配に対して影響力がある」(クルーグマン教授)。