参議院は不要ではない! 与党の一院制導入論に反対する|政局LIVEアナリティクス 上久保誠人|ダイヤモンド・オンライン
私は「一院制」導入に反対だ。しかし、日本の参院(上院)は、他の二院制採用国の上院に比べ権限が強すぎるので、改革が必要だとは考えている。
二院制では、下院に相当する議院(日本では衆院)は、基本的には社会の多勢を占める中産階級の利害を代表する。一方、上院(日本では参院)の構成は各国の事情によって多様であり、以下の3つのタイプに累計される。
「民選議院型」は、貴族制度が存在せず、連邦制国家でもないにもかかわらず、上院が下院の軽率な行動をチェックし、そのミスを修正するために設置されたものである。
二院制のデメリットを補うために、「上院が法案を否決する権利を制限する」制度設計を行っている国が多い。英国の貴族院は庶民院が可決した法案を否決できず、その成立を最大13ヵ月間遅らせることができるのみである。フランスでは上下院の議決が異なる時は、最終的に下院が議決を行う。ロシアでは、法案の成立につき下院の優越の原則がある。
米国やイタリアでは、制度的には両院の権限は対等であり、下院で可決した法案でも上院で否決されれば法律として成立しない。但し、米国は政党に党議拘束がなく、大統領が直接個別の議員に対して法案成立のための多数派工作ができるし、イタリアは上下院議員選挙が同時に行われ、上下院の政党の議席構成がねじれないような制度的工夫がなされている。