財部誠一の「ビジネス立体思考」中川財務省辞任騒動の裏で記者クラブは何をしていたのか
中川前大臣の辞任騒動に関する情報不足の背景には、まさにこうした記者クラブ制度の劣化がある。それは「かんぽの宿」売却をめぐる騒動にも、そのままあてはまる。
「かんぽの宿」を一括売却という大きな案件について、日本郵政が総務省に報告をしていないわけがなく、基本的には総務省は「かんぽの宿」売却のすべてのプロセスを熟知していたはずだ。
そう考えると「かんぽの宿」売却騒動は、郵政民営化見直しを強烈に推し進めるための仕掛けとして利用されたのではないかという推測すら容易に浮かんできてしまう。
世の中を揺るがす大きな問題であればあるほど、その真偽や正邪を判断するためには多様な情報が求められる。組織ジャーナリズムは国民から信頼を喪失している現実にもっと真摯に向き合い、多様な取材にもとづいた多様な情報を世の中に提供する努力をいまこそやらなければいけない。