林 志行の「現代リスクの基礎知識」ポスト麻生〜自民と民主のマネジメント力
「自民党をぶち壊す」というフレーズに、ならば期待してみようと、国民の支持を得るまでに自民党の信頼は回復。国民は、改革に伴う痛みもあるのだろうが、抱え込んでいた多くの矛盾、もつれた部分を元に戻す活力を小泉政権に託していた。あの当時は、追い上げるBRICsや、肉薄する台湾、韓国の技術力、製品開発力に対抗するために、市場を改革し、マネジメントコストを引き下げ、労働力を確保することが急務であった。迫り来る高齢社会に、行政の効率化への期待があった。
自民党は、小泉→安倍とバトンを渡したものの、途中でバトンを落としてしまい、急遽拾った福田政権は逆向きに走り始めた。そして、最後に登場した殿は、「俺は一緒に走るつもりはなかった。あのときは軽いジョギングで誰も全力疾走するなど考えていなかった。」とコースを外れようとしている。
ここ数年の自民党に見られる大臣らの奇行の数々。本来ならばつくはずのないポストになぜ就けたのか、成り手がいなかったのか、あるいは、しばらくは大臣になれそうにないから、いまのうちに経験させておくかという配慮なのかは謎だ。
リーダーシップの立ち居振る舞いを形だけ真似るのではなく、マネジメントそのものを伝承し、確実に動かすことが重要であり、マネジメントのためのメンバーを引き継ぐことが求められたのだが、どの時代にも、新しいリーダーは自分色に染めたがるものであり、苦節何十年の織り合いをどこでつけるかが難しい。
日米同盟は重要なものではあるが、言われるままに、思いやり予算を出し続け、あるいは国内事情への配慮を相手に求め、ずるずると交渉を進めるやり方がオバマ政権で通じるかといえば、甚だ疑問である。
そのとき、日本はスイスではないが、富裕層がたくさん暮らす平和な国として、日米同盟は堅持するが、言うべきことは言いながら、全てを丸呑みではない姿を見せるというのはひとつの選択肢である。