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大前研一の「産業突然死」時代の人生論 日米で横行し始めた銀行の「不当な」金集め

 米ビジネスウィーク誌6月1日号は、大変おもしろい分析記事を掲載している。"Little Money Growth From Fed's Flood Of Funds(連邦政府による洪水のような基金にも拘わらず資金が市場に供給されていない)"と題された記事だ。

銀行その他の金融機関は、自らが死にかかった時には優先的に輸血を受け、自分たちの顧客には「勝手に干上がりな」といっているわけである。

 日本の大銀行がバブル崩壊後にやったことは二つある。一般顧客に対しては、傘下に置いた消費者金融から高い利息で貸し付ける。企業に対しては、息のかかったファンドにその企業を買い取らせてしまう――である。

金融危機の時に銀行を救っても経済・景気・雇用はよくならない、という日本の経験がまたもやここで生かされていない。

それどころか経営が悪化する銀行はますます増え、さらにそんな銀行があの手この手を使って(公的資金以外の方法で)資金調達しようとしている。

 つまり、本来セーフティーネットとして設立されているはずのFDICそのものが銀行のモラルハザードを引き起こしているといえる。

いざとなったらFDICが救ってくれるから顧客には迷惑かけない、と開き直ってしまえば、いくらでもお金が集まってくるのである。昨今の米国ではそういう不心得な銀行が続出している。

「不当な」金集めは、日本でもすでに見られる。前々回の当連載でわたしが「もはや銀行ではないもの」と断じた新生銀行がその格好の例である。

 そしてついに新生銀行が倒れそうになると、これまたサブプライムマドフの詐欺事件で大きく傷ついているあおぞら銀行とくっつけて、金融庁は「これは大きすぎてつぶせない」と公的資金を入れようとしている。

 金融庁はこうした銀行の運用実績に見合わない異常な金利に対して早急に明確な指針を出すべきである。