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「官僚たちの夏」というセンチメンタルジャーニーの危険 | 辻広雅文 プリズム+one | ダイヤモンド・オンライン

 市場は法制度によって支えられている。仮に、その市場に機能がうまく働かないのであれば、さまざまな法制度の改変や運用の工夫による「市場の高度化」によって解決されるべきものである。こうした世界の常識を棚上げして、誤解に満ちた常套句を持ち出す政治家は、不真面目だとしかいいようがない。

 「大蔵省は、1980年代後半以降に大物だとされた事務次官や局長たちを、若い時分に米国のウォールストリートに送り込んで、市場というものに向かい合わせるべきだった。だが、国内のさまざまな厄介な調整場面を乗り切る経験を積ませることが、エリート育成方針だった。それが、大蔵省最大の失敗だ。例えば大蔵省は、金融市場発展のために非常に重要なパーツである東証という存在を、長い間天下り先としか考えてこなかった。1500兆円の日本の金融資産が活性化しない原因は、そこにもある」

 一方、欧米の先進諸国は1970年代半ばから「市場の時代」への転換を始めた。

 欧米においては、アカデミズムも連動した。ケインズ経済学からはとっくに遠ざかり、今や、需要喚起だけでなくサプライサイドに十分注意を払う経済学が主流である。

 日本はいまだ、政治も官僚も原始ケインズ主義につかり、総需要喚起政策一色である。一方、アカデミズムも立ち遅れている。したがって、世界標準の経済学を実際の市場の整備や運営に適合させる、言い換えれば、両者のインタフェースをうまく合わせる現実的な政策訓練など、積み重ねる機会があるはずがない。

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