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【幕末から学ぶ現在(いま)】(29)東大教授・山内昌之 松平容保

 「大胆さと勇気は、もっとも危険で絶望的な事柄においてもっともよく発揮される」とはデカルトの言であった(『情念論』)。勝敗は時の運である。照る日もあれば曇る日もある。


 しかし、勝ち戦や照る日だけに威勢のよいポーズをし、大敗した戦の撤退や総括ともなると、しんがりを大胆に務めないどころか、勇気も忘れて真っ先に逃げを決めこむというのでは大将になる器とはいえないだろう。

 しかし、予想された顔ぶれは色々な理屈をつけて総裁選不出馬を早々と決めた。唖然(あぜん)とした人も多いはずだ。大臣や与党役員として、メディアの注目を浴びるときには異様に多弁であり、自己顕示を競ってきたこの人たちにとって政治とは何なのだろうか。

勇気が徳になるのは、他人のために発揮されるとき、あるいは全体のために私心のない動機から発揮されるときだという言葉(フランスの哲学者コント=スポンヴィル)を、いまの自民党にも残った良質な保守政治家にも噛(か)みしめてほしい。