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開かれた政府という暴力装置

事業仕分けが「財務省支配」だという論評が多いが、これはある意味では正しい。霞ヶ関にほとんど足場をもっていない民主党としては、財務省と組まざるをえないからだ。これは当面の戦術としてはやむをえないが、「官僚支配を脱却する」という民主党の戦略とは矛盾する。

細川内閣のときも、小沢一郎氏が斎藤大蔵次官と組んで増税を強行しようとしたことが、政権を空中分解させる結果になった。

国家戦略局財務省主計局に代わるものだったはずだが、藤井財務相が予算編成権を渡すことを拒否して宙に浮いてしまった。

予算編成権を内閣に取り戻す試みとして、唯一ある程度の成果を上げたのが、小泉内閣経済財政諮問会議だった。

民主党国家戦略局は、実はそのときの諮問会議をモデルにしたのである。

公務員制度改革についての議論もすべて公開すれば、誰が妨害しているのかがはっきりする。国家戦略室が(前の国会で流れた)民主党案をもう一度出し、それに反対する各省庁と討論会をやってネット中継でもすればいい。官僚が国益を守ろうとしているのか省益や私益を守ろうとしているのか、顔色を見ていればすぐわかるのが映像の恐いところだ。

民主党の意図せざる革命

民主党関係者から「誤解があるようなので、現場を見ていただきたい」という申し入れがあった。せっかくのお招きなので、きょう3セッション見学した。

結論からいうと、「人民裁判」は言い過ぎだった。実際の事業仕分けは、むしろ退屈なぐらい淡々と質疑応答が行なわれ、仕分け人も遠慮がちな人が多い。

きのうはノーベル賞受賞者6人が首相官邸を訪れて抗議したそうだが、小柴昌俊氏は「科学予算のうち、科学者に来るのは1割ぐらいしかない」と訴えたという。残りの9割を天下り官僚とITゼネコンなどの業者が山分けしている構造に気づかないで、「科学技術立国」などというスローガンを振りかざしても、納税者を説得することはできない。

民主党財務省の振り付けで踊っているだけだ」という批判も(私を含めて)多いが、民主党財務省の力を利用している。行政刷新会議財務省に招集をかけたら、全主計官が官邸に集まったという。これは霞ヶ関では前代未聞の出来事で、主計官が他省庁を呼びつけることはあっても、その逆はかつてなかったそうだ。日本郵政の人事などと結びつけて「小沢=財務省支配」などという向きもあるが、これはもはや神話化した「小沢史観」だと事務局は一笑に付していた。

民主党もすべての官庁を敵に回すわけにはいかないので、歳出削減という目的を共有する財務省と共闘するのは、戦術的には当然だ。今のところ両者の利害は一致しているが、今回は除外された特別会計に仕分けが及ぶと、対立が表面化する可能性もある。加藤秀樹事務局長もいうように、今回の事業仕分けはスケジュールに余裕のない状態で行なわれた変則的なもので、来年度は概算要求の段階でもう少し戦略的な予算編成が行なわれるだろう。

最大のショックを受けたのは、予算を説明する官僚だったようだ。これまでは主計官との人間関係や省庁間の「貸し借り」で押し切れた話が、まったくそういう仕組みが使えなくなり、プレゼンテーションですべてが判断される。