複数の省庁担当者が、億円単位の予算をつけているにもかかわらず「事業の達成目標は定めていない」などと言い放った。効果を十分検証せず、予算を使い続けていたことが明らかになった。
例えば外務省が民間企業から買い取り、関係者に無料で配布していた国際情報誌について、仕分け人が「読者からどれくらい評価されているか」を質問しているのに、同省の担当者は、情報誌がいかに素晴らしいかをとうとうと並べ立てた。読者アンケートで「自費で購入してもいいという人が1割もいました」と説明した時には、会場は失笑に包まれた。しかし、同省の担当者だけは真顔で、なぜ笑われるのか理解していないようだった。事業は「廃止」と判定された。
「事業の重要性は分かっている。そこに無駄がないかどうかを聞いているんだ」と仕分け人が声を荒らげることも度々だった。自分の仕事に無駄があるとは思いたくないのは分からないでもないが、コスト意識に乏しい官僚たちは、長く密室の中での予算編成に慣れ、霞が関の外の常識が見えなくなっているのではないだろうか。