「母は鹿児島県の出身ですが、戦後に大陸から引き揚げてきて東京で働いていたとき、クラシックレコードをよく聴いていたそうです。同じ時期に宝塚歌劇も見て大感動。将来、女の子を授かったら、タカラヅカかオペラの舞台に立ってほしいと思っていたようです。そんなことは私にひと言も言わなかったんですが、まんまとハマりましたね」
昭和音楽短大声楽科を卒業して藤原歌劇団に入団するが、その前後に、東京アドスクールで宝塚の受験生に声楽を教えていたことがある。「夢を夢で終わらせず、みんな大変な努力をして舞台に立っていることがよくわかりました。教え子でスターになった人はいませんが、初舞台に呼んでくれたことがあるんです。宝塚の舞台に対する見方が違ってきましたね」
