しかも、この圧力は単に先に述べた米国国防族や駐日大使館のみならず、その応援団の自民党はもとより、マスコミ各社が挙って「アメリカ、がんばれ」の大合唱を叫んでいる状況によって加圧されている。とくにマスコミの論調は何とも不思議な光景であるが、日本国民は悲しいかな、こういう「55年体制」型の論議をチェンジのできないメディアしか作って来なかった。
この点では、アーミテージなどの軍事官僚たちが、普天間の決着遅延は軍の再編計画を大きく損ねるようなことを言っているが、その植民地行政官的な論議はまったく聞くに値しない。メディアは愚かにもかれらを「知日派」などと称しているが、百パーセントの誤解だ。かれらは文字通りの戦争のセールスマンにすぎない。それに、七年も八年も時間をロスしているイラクやアフガンでの戦争を見れば分かる通り、かれら軍事官僚たちの認識自体が信頼に足るものではないのだ。この点では、民主党の言う「脱官僚依存」は米国の官僚についても言わなければならない。
米軍沖縄基地の最高司令官でもあるオバマ氏は、さる10日のオスロでのノーベル平和賞授賞式で、戦争行為を正当化する「オバマ・ドクトリン」ともいうべき演説をしたが、鳩山氏が普天間基地問題解決のために決断の一石を投じることができれば、その友愛思想を平和の「ハトヤマ・ドクトリン」に変え、オバマ氏の戦争思想をはるかに凌駕して憲法9条の思想に文字取り鳩の羽をつけて世界に羽ばたかせる契機となるだろう。