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【デフレの恐怖 処方箋はあるか】(3)伊藤忠商事会長・丹羽宇一郎氏

 効果的な景気回復の方法は、成長市場で商品を売ることだ。ノーベル経済学賞受賞者のロバート・ソロー氏が指摘するように、経済は「労働力人口の増加」「資本投下」「生産性向上」の3つによって成長する。日本の場合、人口増加は望めないので、資本投下と生産性向上で引き上げなければならないが、これは2つとも生産サイドの話だ。

 この10年間、日本経済は体質をガラリと変え、米国依存から中国を中心としたアジア依存になった。日本企業の収益の5割以上はアジアで稼いでいる。アジアは「日本の市場のひとつ」と考えるべきだろう。

 中国・大連の沖合に、千葉市と同じくらいの広さの長興島という島がある。温家宝首相の肝いりで最先端のエコテクノロジーを集積させ始めた。

環境付加価値の高いハイテク製品を国内で作り、アジアでは大量生産、大量消費の製品を作る。日本製品の値段は少し高い。だが、高品質で安全・安心なものにすれば農産物を含めブランドとなる。アジアの富裕層には十分売れる。

 いざなぎ景気を超えた今回の景気回復局面では、企業収益が上がったのに収益配分が企業寄りで、従業員への配分が少なかった。企業側が反省すべき点だ。

 現在、企業努力だけで賃金を引き上げることは難しい情勢だが、賃金を引き上げた企業に減税措置を行うような政策があれば賃金が上昇し、個人消費は押し上げられる。

無駄な公共事業の削減は必要だが、職業訓練を受けている者に失業保険の給付期間を長くするような施策をとる。そうすれば、失業者の増加に伴う個人消費の減退もかなり防げるだろう。