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【グローバルインタビュー】カーティス米コロンビア大教授 本心見えぬ鳩山首相

 「普天間基地問題は重要だが、日米関係全体を危険にさらすほど重要ではない。日米関係が危機を迎えるとすれば、それは日米双方の取り組みのまずさによるものだ。どちらの政府にも、この問題を扱う上で不手際が見られる」

 「米政府内は極めて不快に思っているだろう。しかし現実と向き合わなければならないことも確かだ。つまり、米政府は合意受け入れが最善の選択だということを鳩山政権に納得させなければならない。もはや、前政権が合意に達したからといって、現政権が同様に合意に応じると決めてかかることはできない。オバマ大統領自身、ブッシュ前大統領が中欧にミサイルを配備するとした約束を破った。こうしたことは、民主的な選挙が行われた場合、起きうることなのだ。米国は日本に対し、何をすべきかとの教えを垂れる立場にはない。ずっと昔には、そうした『外圧』もうまくいったが、今では非生産的だ。米国政府がやるべきことは、普天間基地辺野古への移転が、ほかのどんな選択肢よりもすぐれているということを日本政府に説得することだ」

 「なすべきことは大きく言って2点ある。ひとつはこの50年を振り返り、日米関係がいかにうまく進んだかということを再確認することだ。もうひとつは、2010年の世界は1960年のそれとは違うということを認め、冷戦下とは違う現代の状況に対応する形で関係を深化させることだ。つまり、環境、気候変動、疾病など軍事的脅威以外のさまざまな脅威についても日米両国がどう対処できるかということを見極める必要がある」

 「沖縄への米軍の駐留についても見直す必要がある。沖縄はきわめて重要な地域であり、なんらかの軍事的プレゼンスは必要だ。しかし、これほどたくさんの基地が必要なのか、これほど広大な土地を占めることが必要なのか、これほど人口が密集した地域に基地を置く必要があるのか、しっかりと再検討する必要がある」

 「もっとも重要なことは、民主党政権が現在の日米安保体制に責任を持って向き合うつもりがあるかどうかだ。もちろんそうだと信じるが、鳩山首相は自らの姿勢を明確にし、力強い言葉で語る必要がある。日米同盟堅持がはっきりしていれば、細部は交渉次第だ。しかし、もし基本的な意図に疑いが生じたとすれば、事態ははるかに複雑となり、対処も困難になる」

 「そう思う。彼は長く政治に携わり、米国にも詳しいし、日米同盟の重要性についてもよく理解している。私のメッセージは、鳩山首相は日米関係の全体像についての彼の考えを明確に説明すべきだということだ。米国には鳩山首相が何者か、知っている人はほとんどいないのだから。首相就任前にニューヨーク・タイムズに掲載された『鳩山論文』は、米国人の間に多くの疑念を生じさせた。普天間問題がこれほど大きな問題になってしまって残念なのは、ひとつには、実は鳩山首相とオバマ大統領は多くの共通点を持つ指導者だという事実を見えにくくさせていることだ。日米は本来、新たな安全保障の脅威に対処すべく同盟を強化していかなければならないのに、実際には全精力が沖縄の基地問題にささげられている」