38歳で赦免されてからの「人生遅咲き」西郷の活躍はめざましいものがあった。一気に噴き出すかんじだった。
――「江戸幕府」という旧体制を壊し、新たに近代国家を築く。
この信念において西郷は不動だった。揺るぐことはなかった。それが西郷にとっての「正」と「義」だった。
いまの世の中、ともすれば「結果がすべて」とされる。もちろん結果も大事。だが、結果がどうであれ、みずからの「正」と「義」を貫く大切さを忘れてはならないのではないか。
歴史を動かすのも「人」。社会を動かすのも「人」。「正」「義」を貫くのもまた「人」だ。「正」も「義」も、西郷が好んだ「敬天愛人」思想のうえにある。これもまた、忘れてはならない。