「日本の芸能は６歳の６月６日から始めたらいいといいますので、私もそのころ始めました。永代のお師匠さん、と呼ばれた宗家藤間流家元の藤間勘十郎さんから習いました。元々、永代橋に住んでおられたので永代のお師匠さんと言われていますが、そのころは浜町に越しておられた。明治座のすぐそばで、最初の日は袴をはいて一階のお師匠さんの前に行き、『これからよろしくお願いします』とあいさつしました。そして、緑色のお扇子をいただき、その日は帰ってきた。次から２階の稽古場にお伺いして、稽古をしていただきました。もう袴ではなく制服で行き、控えの部屋で着替えるのです。稽古といっても遊びに行くようなものでした」
