【日銀総裁会見一問一答】金融機関支援は「臨時貸出制度などが参考」
「民間金融機関も新たな成長分野や成長事業をビジネスチャンスととらえ、融資活動や経営支援などの取り組みを行っている。中央銀行の資金供給機能を生かした支援の検討を進めたい。これから執行部で検討し、民間金融機関とも意見交換を行う。対象としてはイノベーション促進の研究開発や科学技術の振興、成長分野として期待される環境・エネルギー分野などがある。支援方法は日銀がこれまで実施した措置を通じ、得られた経験も参考にして検討したい。目標となる何からの量を意識しながら行うものではない」
「中長期的な財政バランスの維持に向けた信任があるということが不可欠だ。リーマン破綻以降の世界経済の展開を振り返ってみると、公的部門が民間部門の債務やリスクを引き受けた。債務を民間部門から公的部門に置き換えたもので、経済全体としては大きな債務を抱えている。公的債務も削減努力がないと、中長期的の財政バランスの維持について信任を確保できない。そのことを今回のギリシャの問題は改めて浮き彫りにしている。これは世界の国が直面している問題。日本は財政バランスが悪く公的債務残高も非常に多い。日本自身の問題を意識していく必要がある」
「ユーロ域内のいくつかの国の国債金利などが上昇し一定の影響が出てきたと思うが、国際金融市場全体が不安定になることはないとみている。金融支援は現在起きている問題への対応策で、根本的には財政再建を含めた経済改革を通じギリシャのファンダメンタルズを改善していくことが重要だ。ギリシャにおける経済改革がどのように進展していくのか。その過程で実態経済や金融市場全般にどのような影響が及んでいくのか注意深く見守っていきたい」