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〔焦点〕米著名エコノミスト、FRBの追加緩和策の効果に総じて懐疑的

 <オハイオ州立大学のRENE STULZ教授>


 重要な課題は長期的に持続可能な成長を生み出すことだ。量的緩和はそれをしない。一部の金利が人為的に低水準に維持されるため、経済に一段のゆがみが生じるだろう。こうしたゆがみはバブルのような現象を引き起こし、不安定な状況を生み出し、企業の警戒感が強まる可能性がある。金利はこれまで極めて低い水準に維持されてきたが、生産的な投資につながっていない。


 量的緩和のロジックは大量の流動性を通じてサブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅ローン)危機をもたらしたロジックと同じだ。それは、長期的なコストなしに経済の微調整を行う政策当局者の能力への過信に依存している。こうした過信は見当違いであり、政策の焦点は長期的に持続不可能な人為的な消費の伸びを再度生み出す手段を模索することであってはならない。
 

 <カリフォルニア大学サンディエゴ校のジェームズ・ハミルトン教授>

 
 FRB長期金利を数ベーシスポイント(bp)押し下げる可能性のある非常に控えめな措置を取った。彼らが景気減速に対し、もっと積極的な措置を取らなかったことは、こうしたあまり伝統的でないツールを用いることにそれほど自信がなく、さらに積み増すことになるバランスシートに抱える巨額の資産と負債に対処する長期的な能力について幾分懸念していることを示している。FRBは、住宅ローン市場と住宅セクターへの特定の支援を解除し、代わりに全般的な長期金利を低水準に維持することを目指したい意向を示している。

  
 <マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院のサイモン・ジョンソン教授>

 
 FRBが10日発表した方針が大きな変化をもたらす可能性は低い。世界経済は主に、世界的な債務の救済サイクルの結果として各国のバランスシートに残された傷跡のため、減速している。最終的には非常に低い金利は成長の再開を支援するだろうが、残念ながら、効果的な規制の欠如と弱い資本基準を踏まえると、国境を越えた危険な信用ブームの再開にもつながるだろう
 

 <スタンフォード大学のダレル・ダフィー教授>

 
 日本のような本当の流動性のわなに陥った場合、同じような量的緩和で、米国債を購入するために紙幣を増刷することは、あまり助けにならない。われわれは現時点では本当の流動性のわなに陥っていない。バーナンキ議長は過去にそれを回避するための様々な政策手段を有していると述べている。危機の最中にわれわれがバーナンキ議長について学んだことがあるとすれば、必要とされると判断した場合に異例に強力な措置を取ることに議長が前向きであるということだ。

 
 <エール大学のロバート・シラー教授>


 モーゲージ証券市場を直接支援する代わりに国債を購入することで、FRBは危険な戦略を取っている。09年のモーゲージ証券買い取りプログラムは住宅ローン金利国債10年物の利回りスプレッドを大幅に縮小させたが、このプログラムは終了した。住宅市場への効果が大きいとみられた住宅購入者向け税控除措置の終了で、住宅市場は岐路に立っている。住宅価格が06―09年に見られた下向きの道を再び進み始めた場合、市場の信頼に深刻な悪影響をもたらすだろう。


 <ダートマス大学タック・スクール・オブ・ビジネスのマシュー・スローター教授>


 FRBは、経済成長の減速、非常に高水準の失業率および不完全雇用、デフレの脅威について懸念を強めている。非常に景気刺激的な金融政策は全体の需要を促進し、デフレを回避するのに役立つかもしれない。しかし、量的緩和は万能薬ではない。


 金融政策当局が何をしても、財政政策と、より広範囲にわたる構造的な経済政策に問題がある場合、需要の伸びと雇用の妨げになる可能性があるという警告的な教訓を日本は提供している。