「非伝統的な今回の措置の効果は」「FRBの次の対応は」「国債買い入れを拡大するのか、拡大するならどのくらい」「FRBは市場が知らない何かを知っているのか」──こうした疑問が11日、市場観測筋の間で渦巻いた。
第1に、FRBが10日に示した漸次的な措置が融資状況に影響を及ぼすかどうか、大きな疑問がある。
ニューヨーク連銀が3月に公表した報告によれば、FRBが金融危機の際に示した1兆7000億ドル超の証券買い入れへのコミットメントがもたらした指標金利の抑制効果は0.3─1%ポイントにとどまった。これは、顕著な効果を生むためには大規模な緩和が必要であることを意味しており、ゴールドマン・サックスのエコノミストは1兆ドル規模の追加緩和が必要とみている。
追加的な緩和措置は、最初に措置を打ち出すときよりも一定の供給額に対する効果が弱くなるとの指摘もあり、当初と同様の効果を得るためにはこれまで以上の資金供給が必要となる可能性もある。
さらに、米国が抱える問題は高失業率と消費者需要の弱さで、信用供給の拡大ではこうした問題のいずれも解決できないとの声も多い。最大の懸念は、ブラード米セントルイス地区連銀総裁が最近の論文で言及したように、いかに大量の資金を供給しても成長押し上げにつながらない日本型のデフレに陥ることだ。
RBSセキュリティーズの米国担当シニアエコノミスト、マイケル・ジラード氏は「景気の足かせとなっているのは流動性不足ではない」と指摘する。
この点において日本の例は示唆に富んでいる。日銀は融資を促そうと繰り返し銀行に資金を供給したが、成果は低かった。