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【経済が告げる】編集委員・田村秀男 カネの循環、鍵は民にあり

 米国では「日本病にかかるのでは」との懸念が広がっていると聞く。日本は市場バブル崩壊のあと20年にもなるのに、デフレを一向に治癒できない。米国では政府が大掛かりに財政出動し、連邦準備制度理事会FRB)がいくらお札を刷って金融機関に流し込んでも、景気回復の足取りはおぼつかないし、雇用も増えない。


 日米の共通点は何か。双方とも、バブル崩壊と同時に、カネを循環させる市場のビジネス・モデルが壊れてしまった。

 カネの量は通常、金融用語の「M2」(現預金の合計)で表されるが、日本では前年比で毎月二十数兆円も増えている。なのに、消費や設備投資には結びつかず、経済のサイズは細り、元気がなくなるばかりだ。米国では伸び率は「リーマン」後鈍化しているものの、増加基調が続いている。1930年代の「大恐慌」時代、ドルの現預金は減り続け4年間で25%も縮小したが、日米とも、危機後、カネはあり余っている。大恐慌との大きな違いだ。

 なぜ、カネは循環しないのか。日本の銀行は毎月前年比で10兆円前後も貸し出しを減らし、入ってくる預金を使って同30兆円前後も国債を買い増す。政府は国債発行で得た国民の貯蓄をデフレ克服に振り向けるすべを知らない。企業も増える手元資金で国債を買い、設備投資を見合わせる。だれもがリスクをとらない。


 米国では、投資ファンドが余剰ドルを日本円や米国債原油、金(きん)、穀物などに振り向ける。いずれも生産や消費に結びつかない一過性の投機である。日米ともカネの流れはそこで行き止まる。

 米国の場合、リーマン前までカネを循環させる装置は金融商品だった。金融機関は住宅ローンを証券化して焦げ付きリスクを見かけ上小さくした証券化商品や、各種債務の返済を保証する保険商品である金融派生商品を乱発した。おかげで多重債務者や低所得者でも住宅ローンを借り入れ豪勢な住宅を手に入れ、輸入消費にふけった。世界の余剰マネーとモノが米国に殺到したが、バブル崩壊とともにカネの流れが一挙に消滅し、未曾有の世界金融危機を引き起こした。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20100817#1282054844
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20100813#1281655035
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20100811#1281482704
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