〔BOJウォッチャー〕日経平均9000円割れ、白川総裁の米地区連銀会合での情報収集注視
日銀は市場が急変した場合に迅速に対応する姿勢を維持しつつ、現段階では、米投機筋の資金不足などを背景に、一段の株価急落や円高進行に結びつく可能性は大きくないとの見方に傾いている。9000円割れが「政府・日銀に円高対策を促すための催促相場なのか、実体経済減速の兆候なのか」(日銀関係者)など、その理由や影響を見極めることが先決との立場だ。
ある日銀幹部は、日経平均の9000円割れについて、海外ヘッジファンドの資金難などもあり、「強烈に売りを仕掛けてくる気配がプンプンする感じではない」とみている。
「世界の資金の流れが、つかみにくくなっている」、「なぜ円が買われるのかよくわからない。『円が安全資産』などといわれるが、本当なのか、とも思う」(関係者)など原因を分析している段階だ。
さらに、株安や円高が企業マインドに与える影響についても、「民間調査などでは、円高の割に企業マインドが堅調」(関係者)としており、日銀の判断を難しいものにしている。実際、円高が進行した7月26日─8月10日に実施したロイター短観・8月調査(241社が回答)では、製造業の業況判断DIがプラス22(前月比10ポイント増)となり、2007年11月以来の高水準となった。
こうした中で、日銀関係者が注目しているのが、今週後半に米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれる米カンザスシティ連銀主催のシンポジウム。バーナンキ議長が講演するほか、同シンポジウムに参加予定の白川総裁が、バーナンキ議長やトリシェ欧州中銀(ECB)総裁と、このイベントの前後でどのような情報交換をするのか、日銀内で高い関心を集めている。