https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

【敗北 尖閣事件】(上) 歪んだ「政治主導」 仙谷氏前面に

 それは、実に奇妙な光景だった。那覇地検鈴木亨次席検事は24日の記者会見で、中国人船長の釈放理由にわざわざ「日中関係への考慮」を挙げた。
 政府のトップである菅直人首相と外交責任者の前原誠司外相の2人が米ニューヨークでの国連総会出席のため不在中に、地検が外交的配慮に基づく判断を下したというのだ。


 「地検独自の判断だ。それを了とする」


 仙谷由人官房長官は24日午後の記者会見でこう繰り返した。柳田稔法相も「指揮権を行使した事実はない」と強調した。だが、誰が言葉通りに受け取るだろうか。

 政府関係者によると、仙谷氏は24日午前の閣議後、釈放を一部の閣僚ににおわせていた。地検の発表前に仙谷氏は柳田氏と官邸で会談している。


 「僕ら(前原氏を除く)政務三役5人は釈放決定を知らなかった。何でこのタイミングなのかと話し合ったぐらいだ」


 外務省政務三役の一人ですら事前には全く知らされていなかったと強調する。

 中国側とのハイレベル協議を模索するなど事態打開を探っていた仙谷氏は、前原氏から連絡を受けた「米側の要請」(政府筋)をもっけの幸いとばかりに利用し、船長釈放の口実にした可能性があるというのだ。

 「日本は法治国家だ。そのことを簡単にゆるがせにできない。(日本が)超法規的措置をとれるのではないか、ということが前提にあるから(中国側は)よりエスカレートしていく」


 玄葉光一郎国家戦略担当相も24日午前の記者会見で胸を張った。だが、那覇地検の釈放方針発表後に官邸を出る際、玄葉氏は記者団に無言を通した。

 「那覇地検の決定は、3〜4時間後には(米ニューヨーク滞在中の)菅直人首相の耳に入るだろう」


 仙谷由人官房長官は24日午後の記者会見で、いったんはこう述べ、船長釈放決定は首相の耳には届いていないとの認識を示した。


 そしてその後、秘書官が差し入れたメモを見て「首相にはすぐに連絡が届いているということだ」と訂正した。まるで、首相の意思・判断には重きを置いていないかのようだった。

 高村正彦元外相「ビデオを見たら、(中国漁船側が)ぶつかってきたことが一見して分かるのか」


 檜垣刑事課長「一見して分かります」


 ならばなぜ、貴重な証拠を国際社会にアピールしようとしなかったのか。