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米国の歴代民主党政権を支えた重鎮が緊急提言! 「日本は中国の謝罪・賠償要求に応じる必要なし 日中対立の本当の解決策を語ろう」 〜ジョセフ・ナイ元国防次官補(現ハーバード大学教授)インタビュー|DOL特別レポート|ダイヤモンド・オンライン

 中国の脅しに屈しなかったのは正しいことだ。中国は、この機会を過大に利用しようとしており、こういうやり方は長期的に見て中国の近隣諸国との関係を悪化させる。

 尖閣諸島については、日中両政府が領有権を主張しているが、日本がずっと領有(in possession)してきた経緯がある。基本的に現在の状況は、日本が領有しているというものだ。そのことに挑戦しようという中国のスタンスは間違いだ。

 アメリカの立場は、日中両国と良好な関係を保ちたいというものだ。ただ、日本との間には日米安全保障条約がある。ヒラリー・クリントン国務長官が述べたように、アメリカは中国と友好関係を保持することを希望する一方で、同盟国としての日本をサポートする。漁船の衝突問題や領土問題の解決には乗り出さないが、安保条約を結ぶ同盟国としての日本が尖閣諸島を領有しているという事実を認識しているということだ。

 1年前、鳩山首相(当時)は中国との関係を重視し改善していくと発言した。アメリカは、それはかまわないが、日米安保条約を保持した上でのことだと述べた。それに対して、日本側にはいくらかの疑問があったのではないか。現在目前にある中国との問題は、安保条約がなぜ重要なのかを物語るものだ。中国の威嚇行為を防ぐことができるからだ。

 中国の国内政治は最近、国粋主義に傾いている。加えて、(リーマンショック後)世界が経済危機に陥った中で、経済的に成功したことに高いプライドを感じている。それが、国際政治において積極的な行動に出させている。


 つまり、(今回の威嚇行為は)日米関係が悪化していると見たからではなく、最近の中国の典型的な行動と言える。同様の領土問題は、尖閣諸島だけではなく、南シナ海北ベトナムでも起きている。

 最良の方法は、中国が賠償要求を取り下げ、日中が直接協議のテーブルに戻ることだ。そして、日中両政府が合意している東シナ海のガス田共同開発プロジェクトを開始することだ。


 このプロジェクトは、日中が友好的関係を強めていくために重要な役割を果たす。この当初の路線に戻るのが良策だろう。

――日本は、中国に漁船との衝突で破損した巡視船の修理費を要求している。


 ディテールは問題ではない。繰り返す。最良の解決策は、両国が要求を取り下げて、ガス田の交渉というもっと広い議論に入ることだ。

――中国の権力中枢では、一体何が起きているのか。ここ数日だけ見ても中国は対立姿勢を軟化させたり硬化させたり、対応がチグハグだ。


 理由はふたつある。ひとつは先に述べたように、国内での国粋主義の高まりだ。中国国内のブログやインターネットでの投稿を見ると、それは明らかだ。アメリカの外交政策を批判する人民解放軍の高官の態度にもそれが出ている。


 もうひとつは、2012年に予想される中国指導部の交代だ。温家宝首相や胡錦濤国家主席は、次期指導部が勝g小平(故人)の敷いた注意深い外交政策を引き継いでいくことを望んでいるが、中国共産党の若い世代には、もっと強い中国を目指す傾向がある。それが表面化している。

 中国は、北朝鮮との関係でふたつの目標を持っている。ひとつは核保有を制限すること。もうひとつは国家崩壊を防ぐことだ。


 北朝鮮が崩壊すると、難民が中国になだれ込む。中国はこのふたつの目標を並行して達成しようとしてきたが、北朝鮮の指導部と何らかの対立問題が生じると、後者を重視せざるを得なかった。つまり、北朝鮮に対して、中国は完全に厳格な態度に出てこられなかったということだ。逆説的だが、北朝鮮はその弱者的な立場を国家パワーとして利用しており、それを中国に対して行使しているのだ。


 中国は、北朝鮮が国家崩壊を免れるためには中国的な経済改革を推進することが必要だと見ているが、北朝鮮にはその意思がないという状態だ。

 2002年〜2003年にさかのぼれば、じつは中国はASEAN諸国に対して、南シナ海の領土問題でより穏やかな立場で臨むというソフトパワーを使っていた。ところが、ここ数年で態度が硬化してしまった。経済的な成功を背景に、若い共産党員の態度も強気になり、近隣諸国が中国の言い分を聞き入れるべきだと考えるようになったのだろう。


 だが、中国は元の路線に戻るべきだ。アメリカは、アジア地域で中国が融和的姿勢を保つことは、中国、アメリカ、日本を含めたすべての国の経済発展にとっていいことだと見ている。

――現状を見ていると、その声が届くのかは分からない。


 こう答えよう。ゲームには、双方が負けるものと、どちらも勝つものがあるが、われわれは後者を探求すべきだ。対立状態は何も生産しない。外交交渉こそ何物にも勝る。中国にもそう考えてもらうしかない。