政府・日銀は「市場の疑心暗鬼を誘うことで一方的な円高の阻止を狙っている」(同)とみられる。その有効な手段となるのが、覆面介入だ。日銀が実務を行う介入の方法には、(1)市場で直接取引に参加する(2)内外の大手の民間銀行に発注する(3)他国の中央銀行に委託する−などがある。
メガバンクの為替ディーラーは「日銀から直接、発注の電話があるが、外にばらしたら次から仕事がこなくなる」と証言する。この結果、誰が注文を出したのかわからず、介入が行われたかどうかも判然としない覆面介入が可能になる。
各国が輸出に有利な自国通貨安を競う中、G7では、相場を意図的に操作する介入への批判が噴出する懸念もあるが、政府内には「覆面なら見て見ぬふりをしてもらえるのでは」との希望的観測もある。