中国次期5カ年計画、数値目標盛り込まず、GDP至上主義から脱却へ
従来の国内総生産(GDP)至上主義から、内需拡大や格差是正などバランスを重視した「経済発展モデルの転換」を目標に掲げて、数値目標を盛り込まなかったのが特徴だ。
やみくもな経済規模拡大が招いた社会的なゆがみをどこまで修復できるかが、中国経済の先行きのカギとなる。
中国はGDPに対する個人消費の寄与度が約40%と低く、公共事業や投資、輸出に成長を頼ってきた途上国型の経済構造を続けており、マクロ経済政策の転換が求められている。
提言では個人消費てこ入れ策として、8億人を抱える農村部でのインフラ建設や、公共サービスの整備を通じた農民の所得拡大をめざすとした。
さらに、省エネ・環境保護、新素材、クリーンエネルギー車など、有望な次世代の7業種への政府支援を明確化したほか、石油や天然ガス、漁業資源など海洋権益の保護を重視する。尖閣諸島など、石油資源が眠る海域での活動強化を宣言した格好だ。
また、人民元の為替制度改革や資本取引の自由化を段階的に進めるなど、ハードカレンシー(国際決済通貨)化や、国際収支の均衡に努めて海外への投資を積極的に後押しし、経済の国際化にさらに踏み出す意向を明示した。ただ、実施時期などについては示されなかった。
次期5カ年計画では、あえて数値目標をはずし、成長モデルの「量から質」への転換を明確化する狙いがあるようだ。