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〔アングル〕米長期金利の上昇はFRBの想定外か、急ピッチなら国債買入増額検討の声

現時点では、8月以降継続してきた緩和観測による長期金利低下に対する一時的調整との見方が多いものの、今後も急ピッチで長期金利が跳ね上がるようなら、FRB金利上昇を抑制する目的で1回当たりの国債買い入れ額を増額し、結果として買い入れ終了時期を前倒しする可能性を指摘する声も浮上している。

 16日のニューヨーク債券市場では30年債利回りUS30YT=RRが4.4%と半年ぶり高値に上昇、10年債US10YT=RRも2.96%と3カ月半ぶり高水準を記録した。市場では「大手商品投資顧問(CTA)などの45日ルールによる顧客からの一時的な解約による調整で、1週間程度で落ち着く」(市場関係者)との見方が多い。


 ただ、一部では「30年債利回りが上昇するだけなら米緩和策を受けたインフレ期待が高まっていると言えるが、10年債など幅広いレンジの金利が上がっている。FRBとしても意外だったのではないか」(別の市場関係者)との声も出ている。元日銀審議委員の田谷禎三・大和総研顧問は「期待で買って現実で売るという行動の結果という一面と、米当局が財政政策の領域に踏み込んで来ているとの思惑の2つの面がある」とみる。

 日銀内では、FRB長期金利上昇をどうみているか見極めようとしているもよう。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は16日、CNBCとのインタビューで「金融緩和策の解除までに数年かかる可能性がある」と述べ、一部日銀関係者や市場関係者は、米長期金利の上昇をけん制した口先介入による火消しとみている。

 20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で中国、ブラジル、ドイツから相次いでQE2が自国の輸出産業を有利にするドル安政策との批判が出る中、米共和党幹部や学者の一部からもQE2の副作用の強さや効果の不確実性を指摘され、米市場ではQE2への厳しい見方が急速に広がった。その先のステップ、QE3への量的緩和継続が難しくなったとの予想に加え、6000億ドルというQE2での米国債買い取り額の縮小させる可能性を指摘する声まで出て、長期金利の上昇はインフレ懸念の広がりだけでなく、そうしたFRBの作戦変更の可能性を織り込み始めた結果との見方も出ている。


 だが、ダドリー総裁のコメントを聞いて「FEDには逆らえない、というウォールストリートの“おきて”を思い出した市場関係者も増えたのではないか」(邦銀関係者)という声も出てきた。クレディ・アグリコル証券の加藤進マネージング・ディレクターは「現時点で緊急性はないが、米長期金利が3.5%などの水準に跳ねた場合、金利上昇リスクを抑えるため、(1回当たりの国債買い入れ額を増やして、6000億ドルの買い入れ終了時点を来年の6月から)前倒しすることなども検討され得る」と指摘する。そのケースでは、米追加緩和による円高圧力の再燃などにマーケットの焦点が集まる可能性があり、日銀にとってもFRBの対応から目が離せない状況が続きそうだ。