ADBは、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国、香港、台湾、韓国を含めた新興市場アジアについて、主要国経済の低迷、不安定な資本流入、インフレ高進、資産バブル、保護主義というリスクに直面しているとの見方を示した。
「一部の国は、資本流入の急増に対処するため、一時的に資本規制を導入しており、通貨高抑制に向け、為替市場に直接介入しているもようだ」
そのうえで、通貨高抑制に向けた通貨戦争は、貿易戦争を過熱させる可能性があると警告した。
さらに、金融危機により、東アジア地域における為替面での協調の必要性が示されたと指摘した。
「資本流入を効果的に管理する魔法の解決策はない。それぞれの政策には、良い点と悪い点があり難しい選択だ」
「為替レートでの協調があれば、中国の通貨上昇への意欲は高まるだろう。中国の東アジアからの膨大な赤字は拡大しないことになる」
「単独で通貨が上昇すれば貿易セクターは確実に打撃を被る。このため他のアジア諸国の通貨高を伴わずに中国が一方的に人民元を上昇させるとは思えない。為替レートでの協調があれば、中国だけでなく他国も上昇する余地がある」