「5%の法人減税」は、巡り巡って本当に国民の生活を向上させるか?|今週のキーワード 真壁昭夫|ダイヤモンド・オンライン
最も重要なのは、「企業の行動」がどうなるかだ。企業が、税負担減少というチャンスを使って競争力を身につけ、経済を成長させることができればよい。しかし、負担減少分を懐に貯め込むだけでは経済は拡大せず、かえって個人部門が割を食ってしまうだけという状況になることも考えられる。
そのカギを握るのは、企業の経営能力、突き詰めて考えると「経営者の資質の問題」に行き着く。現在、わが国の主要企業には、相対的に高い技術力と、潤沢な収益蓄積があるはずだ。今後、それに減税分のキャッシュフローが内部留保となって加算される。
そうした経営資源を、いかに効率的に使うことができるかが、ポイントになる。経営者が、しっかりした経営戦略に基づき、収益を上げられるビジネスモデルを作ることができるか否かにかかっている。
現在のようにわが国自身が大きな曲がり角を迎える時期、短期的には多少の痛みを受け入れてでも、将来のしっかりした国づくりを行なうリーダーが必要だ。今なら、強力なリーダーシップが出現すれば、わが国の再生は可能だろう。
しかし、これから本格的な人口減少局面を迎えるわが国にとって、多くの時間が残されていないことは明らかだ。産業界にも、政治の世界にも、強力なリーダーの出現が待たれる。