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福島原発事故、ヘリ、放水車は冷却に無力、最悪な事態に備えた対応を

 「止める」「冷やす」「閉じこめる」は原発事故での三大原則。3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故では「冷やす」ことが完全にできず、事態を悪化させている。地震津波により冷却系統が想定以上に破壊されたことが要因だが、冷却機能が再び機能し、放射能の拡散を減らすことはできるのだろうか。

 元東芝社員で原子炉格納容器設計者である後藤政志氏は、「断言はできないが、格納容器は破損していると思う」という。設計段階ではあらゆる危険性を考えたうえで設計するが、「(地震津波が重なったために)多重故障が発生したため、安全システムがすべて作動しないという最も恐れていることが起きた」と説明する。


 では、十分に原子炉を冷却できないと、どのような事態が待っているか。最悪は、放射性物質の大量放出を止められないということだ。


 後藤氏は、今後予想される危機を以下のように説明する。まず、原子炉の冷却ができないと炉心が溶融して原子炉の底に溶融物が落ちる。さらに冷却ができないと、原子炉圧力容器の底が抜ける。底まで落ちた溶融物はコンクリートと反応し、大量の水素ガスなどを出す。そして、この段階で格納容器が破損するので、外部に大量の放射性物質が放出される。


 溶融物が発生した段階で冷却のために水を投入することも難しい。というのも、溶融物に水を注ぐと一気に水蒸気爆発が起きるためだ。水蒸気爆発は、火山から流れ出たマグマが海面などと触れあうとすさまじい蒸気を発生させることを思い浮かべるといい。原子炉の場合、燃料被覆管に使われているジルカロイ合金が摂氏1400度で溶融を始め、その溶融体が冷却水に落ちると水蒸気爆発が起こりうる。

 後藤氏はさらに先の危機シナリオを提示する。

 冷却がうまくいかないと、事故の内容が進むにつれて水素爆発や水蒸気爆発、あるいは再臨界が起こりうると、後藤氏は警告する。再臨界とは、落ちた溶融物のなかには核分裂を進めうる燃料が残っており、それが勝手に臨界を始めるというもの。原子炉へのホウ酸の撒布が検討されているのも、この再臨界を防ぐためだ。


 水素、水蒸気爆発など大規模な爆発現象が発生すれば、放射性物質が大量に飛び出し、チェルノブイリ原発事故と同じような事態を招く可能性がある。爆発を起こさなくても、徐々に放射性物質が外部に出続ける可能性があると、後藤氏は言う。いずれにしろ、深刻な事態が継続することは間違いない。