経済産業省原子力安全・保安院は19日、福島第1原発から約61キロ北西に離れた福島市で、事故の影響とみられる高い空間放射線量が測定され続けた理由について、15日に漏れた放射性物質が風で運ばれ、雨で地上に落下したとの見方を示した。
福島第1原発から北西に約20キロ離れた福島県浪江町内の放射線量が、一般の人の年間被ばく限度の2233〜2890倍に当たる1時間当たり255〜330マイクロシーベルトに達していることが、文部科学省の調査で分かった。
文科省によると一般の人の年間被ばく限度は1000マイクロシーベルト、同町内の数値は屋外にいると3時間前後で限度に近付くことになる。屋内でも車内に近い数値が計測されることも予想され、文科省は16日から「測定者の健康に被害が出ない範囲で計測を続ける」としているが、住民の健康被害については「枝野幸男官房長官からコメントするなと指示があった」と説明している。
福島第1原発事故の影響調査で、福島県川俣町の水道水から放射性物質のヨウ素が検出されながら発表が2日後だったことについて、政府の原子力災害現地対策本部の横田一磨福島第1原子力保安検査官事務所長は20日未明、福島市で記者会見し、「隠す意図はなかった」と釈明した。