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「少量・連続的被曝、影響少ない」東京工業大 松本義久准教授

 放射性物質はなぜ人に害を与えるのか。


 これは、放射性物質が出す放射線が、人の遺伝子の情報を担うDNAに損傷を与えるからだ。特にDNAを形作る二重螺旋(らせん)が切断されることで、人の細胞増殖に支障が発生するほか、がんが生じたり子孫に遺伝的な影響を及ぼしたりする。


 例えば、一度に4千ミリシーベルトを全身に浴びると、放射線の影響で血液を作る造血幹細胞が破壊され、白血球が減少して免疫力が低下するほか、血小板が減少して出血が止まらなくなるなどの症状が出る。結果、骨髄移植などの治療がない限り、50%の人が60日以内に亡くなるとされている。


 一方、100ミリシーベルト以下の被曝(ひばく)では、これまでに人体における影響が確認されたことはない。


 同じ100ミリシーベルト放射線を浴びるにしても、一度に100ミリシーベルトを浴びたときと、分割して、あるいは連続的に計100ミリシーベルトを浴びた場合では、後者の方が影響が少ないことを知ってもらいたい。


 これは、人体には生体防御能力があり、少しずつ浴びる間にその都度生じた損傷の修復が可能だからだ。


 例えば、野球で1試合に単打を10本打たれ、1つずつ進塁された場合、1イニングに10連打されたときは計7点取られるが、2イニングで5本ずつ連打されたときは1イニング2点、計4点しか入らない。1イニング1本ずつ、最終回に2本打たれたら1点も入らない。体内でもこれと同じような状況が生じると考えていい。


 また、水から検出が続く放射性ヨウ素は、多くは体内で安定した別の物質に変わったり、尿や便で排出される。浄水場で1リットル当たり200ベクレル以上の数値が検出されても、そのまま体に蓄積されるわけではない。


 基準値である1リットル当たり300ベクレルという数値も「水を平均摂取量として1年間飲み続けた場合の被曝線量が5ミリシーベルト」という考えに基づいている。乳児は、その3分の1を基準としている。基準値が半年続きそうであれば対策を考える、という時間スケールで考えればよいものである。