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「有事でも変わらないリーダーシップの本質」 ロバート・サイデル  アメリカン・エキスプレス日本社長に聞く|世界に学ぶリーダーシップとグローバルマインドの育て方|ダイヤモンド・オンライン

 当社には、自然災害など非常事態が発生した際に、状況の把握や対応に当たるクライシスレスポンス(危機対応)チームがある。情報システムからセキュリティ、オペレーションなどさまざまな部署の社員で構成され、有事の際には、世界の主要拠点で編成されることになっている。今回もそのルールに則って、危機対応チームを編成し、事態に対応した。


 最初に心配したのは、社長として当然、全社員の安否だった。われわれは、自然災害のように大きな潜在リスクがある非常事態においては、社員の安全確保にプライオリティを置く。東北エリアにいた社員やその家族の安全を確認できた後は、顧客対応に全力を注いだ。

 いわずもがなだが、まずリーダーたるもの、ほんの僅かでもパニックしている様子など見せてはいけない。危機の際には、社員はいつも以上に真剣なまなざしでリーダーたちの一挙手一投足を見つめている。

 第二に、組織の誰をも巻き込む災害のようなケースにおいては、コミュニケーションの重要性はよりいっそう増すものだ。たとえば、福島原発事故発生以降の最大の不安は、情報が不足していたことだ。もちろん、われわれは“外側”をコントロールすることなどはできない。しかし、少なくとも“内側”は違う。限られた情報の中で、明確な判断を迅速に提供することで、組織内の要らぬ混乱を避けることはできる。

――しかし、原発事故をめぐる不安は、情報不足もさることながら、信憑性に乏しい情報がたくさん飛び交ったことだ。憶測情報の中で経営判断を下さなければならないところに難しさがあるのではないか。


 その点については、私はこう思う。リーダーは報道に振り回されてもいけないが、報道に耳を塞いで憶測として一方的に排除するのもいけない。とにかく切迫した時間の中でスピーディな判断が求められているのだから、各方面の見識に照らして情報を精査し、社員に伝える際にはどこまで確証が得られているのかも含めてオネスト(誠実)になることだ。


――実践例を教えてほしい。


 たとえば、3月23日に、東京都の水道水から基準値を超える放射性ヨウ素が検出され、乳児の水道水摂取は控えるようにとの報道があった。この場合の乳児とは、1歳未満ということだったが、私はそのニュースを伝えたうえで、1歳未満ではなく3歳以下の子どもを持つ全社員を対象に、家に持ち帰るペットボトルのミネラルウォーターを提供することを即座に決めた。報道や発表よりもコンサーバティブな方向で決断を下したわけだ。こうしたときは、安全第一で保守的に判断すべきだと私は信じている。

 要するに、有事の際のリーダーシップは、平時の際のリーダーシップの積み重ね、すなわち社員の信頼をベースにしているものであることを忘れてはならない。対話をせず一方的に命令することがリーダーシップであると思っているとすれば、それは平時にも有事にも有効ではないだろう。

私はとにかく人びとのダイバーシティを引き出せるようなトップでありたいと思っている。

 私は、リーダーになって比較的早いうちに、人にはそれぞれの性質にあった貢献の仕方があるということに気付いた。内向的な人もいれば、外交的な人もいる。プロセス志向の人もいれば、クリエイティブな人もいる。リーダーの役割は、その良さを引き出すことだ。クリエイティンブな人をプロセス志向にはできないし、その逆も無理だ。物静かだからといって、組織に貢献していないわけでも、何も考えていないわけでも、相対的に良い考えを持っていないわけでもない。ダイバーシティを定義し、それが生かされる職場環境を作ってあげることがリーダーの役目だと私は思う。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20110414#1302771648(インテグリティ)