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郷原信郎(@nobuogohara) 2011年04月29日 - Twilog

問題は、検察の強制捜査着手の時点で考えた場合、ライブドア事件というのが、果たして、刑事罰を適用すべき事案だったのが、堀江氏を犯罪者として処罰することが適切だったのか、ということです。世の中には、法律に照らすると「違法」と評価される行為は山ほどあります。

その中で、どのような行為に刑事罰という峻厳な制裁を適用するのか、という点には価値判断が必要です。例えば、「節税か脱税か」という問題に関して「所得税法上違法な節税」と認定されたからと言って、それがすべて脱税として処罰の対象とすべきということにはならないのは当然です。

粉飾決算」も同様で、有価証券報告書で公開された決算の内容に誤りがあったことが判明し、後日修正が行われることは決して少なくありません。それは結果的にみると、その決算が「粉飾」であったとみることもできますが、それがすべて刑事事件の捜査・処罰の対象になるわけではありません。

このような株式売買の損益を連結決算上どう処理すべきなのかは、会計技術上の問題です。その点について、会計の専門ではない社長の堀江氏がどの程度認識していたかがも問題ですが、一方で、その会計処理がライブドアという会社に対する投資家の判断にどれだけ影響するのかも疑問です。

むしろ、多くの株主が投資している生きた会社に対して、突然の強制捜査を行って市場を大混乱させ、ライブドア上場廃止して、市場からの退場に追い込んだ検察捜査こそが、株主に重大な影響を与えたというべきだと思います。

「思考停止社会」でも書きましたが、株主からライブドア、堀江氏への損害賠償訴訟で、裁判所は、検察が事件着手前に粉飾決算の事実を「公表」したと認定、それを理由に国賠訴訟が提起される可能性もあります

郷原信郎(@nobuogohara) 2011年04月30日 - Twilog

もう一つの問題は、いわゆる消費者保護系の弁護士の人達の単純化した物の見方です。一般的に、消費者利益を害したかどうか、違法か合法化、という二分法で物を考えるので、何とか有罪にさえすれば良いという検察の考え方を、そのまま後押しすることにつながります。

経済事件を刑事事件として取り上げるのであれば、単なる「見解の違い」ではなく、その時点で社会の一般的な考え方に基づいていなければならないと思います。