「戦後日本は政官財学が癒着して、経済成長優先で原発を造り続けてきたということだろ。そういう仕組みは、ここで断ち切らないと駄目だよな」。首にタオルを巻いた文さん。眉間(みけん)にしわを寄せ、険しい表情で語り始めた。「ところが、いまだに聞こえてくるのは『原発がなければ、経済が停滞してしまう』という声ばっかりで、『自然エネルギーに向かおう』という声が聞こえてこないじゃないか」。かなり怒っている。
「仮に原発をやめて30%の電力が減ってもいいじゃないか。原発を造り始める40年前までだって、別に餓死者が出たわけじゃないだろ。けつをふくのまで電気を使う生活なんて、おかしな話。俺たちが若かったころは、かまどでご飯をたいて、七輪で魚を焼いていた。そういう暮らしの方が、人間が乾かないで済むよな」
ところで、俳優として脱原発を掲げることに、ちゅうちょはなかったのか。
「あのね、政治に対してものを言うのは、どんな職業だろうと自由だろ。国民一人一人が、原発に対しての賛否を言ってほしいよね。だから、衆院を解散して総選挙なんかやる前に、原発の是非を問う国民投票をすべきだって言ったんだよ」