ビジネススクールも本も役に立たない ! 『MBAが会社を滅ぼす』と言われる理由。 ミンツバーグ教授のマネジャーの学校|エディターズ・チョイス|ダイヤモンド・オンライン
それは、研修の世界も同じである。ピーター・ドラッカー教授と並び称される世界的経営学者、ヘンリー・ミンツバーグ教授は、従来の知識偏重の座学スタイルの限界とともに、世界の潮流は大きく変わりつつあると指摘する。
ミンツバーグ教授はかねてより、「マネジャーの仕事は誰かに『教え授かる』ものではない」と主張しており、「日々の自分の経験から学ぶ」方法を第三世代と称して以下のように説明している。
□第一世代
理論の学習とその適用事例を学ぶケーススタディである。基本を学ぶにはよいが、これだけでマネジメントを理解したと錯覚することは甚だ危険である。自ら経験していない事柄まで机上の論理で正解を導き出せると勘違いすることは、組織に悲劇をもたらす。
□第二世代
アクションラーニングなどで、実際のプロジェクトを教室に持ち込む学習法。プロジェクトをメンバーで推進しながら、実践的な学びを深めていく。しかし、ミンツバーグ教授に言わせれば、これも人工的な経験でしかない。
□第三世代
日常のマネジメントをそのまま学びとする方法。重大な意思決定であれ、ルーチンワークの中の些細な出来事であれ、日々の言動を取り上げ、無意識のうちに行っている判断や言動をあぶり出す。残業している部下との会話、職場での何気ない雑談でも何でもよい。支柱となるマネジメント理論をもとに、日常の行動を振り返り(内省)、学んでいくスタイルである。
第三世代の学習法のポイントは、振り返り(内省)と対話にある。日常の出来事を話し合う相手がいれば、自分だけでは気づかない新たに発見が得られるし、また、他者の行動を参考にもできるのだ。
学びとは、現実に活きる知恵を身につけることであり、知識をストックすることではない。本もビジネススクールも、きっかけや判断の拠り所は提示してくれるが、それ以上ではありえない。マネジメントの学びは、自分の経験を振り返る中で、自分に気づき、自分を変えようとすることが出発点となる。