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【次代への名言】温故知新編(51)

「私は隠し立てやごまかしをしませんでした。ために不人気ではありましたがそれは、私のことばが真実である証明でもあります」(『ソクラテスの弁明』)

 「ソクラテスは、国家の認める神々を否定し、異端の神々を招き入れる罪を犯した。さらに青年を堕落させるという罪をも犯した」−。紀元前399年初頭、古代ギリシャの中心都市(国家)・アテネで、70歳の哲学者、ソクラテスが告発された。その訴状の要約である。

 「ぼくにはこれだけはわかっている。もし、ぼくが法廷に引き出されるような危難に遭うとしたら、それは邪悪な人間の仕業にまちがいあるまい。なぜなら、善人は絶対に、無実の者を裁判にかけたりはしないのだから」

ソクラテスは、アテネでは長きにわたって知識層からうとまれ、「神に不敬」とみなされていた。

 「君たちはぼくが一生涯をかけてこの日のために準備してきたことを知らないのかい? つまり、ぼくはただ正義と不正とを考究し、正義を行い、不正を避けることに没頭してきたのであって、これこそ、最良の弁明の第一歩なのだ」


 弟子、クセノフォンによると、これが告発を知らされた師の第一声だった。