財政規律の強化を求める新たな財政協定から金融取引税の導入問題、EUの特許や産業政策に至るまで、英国とフランスはあらゆる問題で対立している。実際、英国はチェコとともに、新財政協定の受け入れを拒否した。
キャメロン首相は記者団に対し「自分はサルコジ大統領の支持者であり、友人だ。彼は時々、私が同意できないことを言う。きょう、彼は英国には十分な産業がないと言ったが、実際は英国の産業セクターはフランスより大規模だ。しかし、われわれはそんなことを気にしない」と語った。
サルコジ大統領もキャメロン首相との不和を否定しながらも、英国の産業に関する発言について「私は誰も怒らせたくないし、誰をも不安にさせたくない。誰かを挑発したつもりはない」とコメント。その上で「私は、われわれの友人である英国が特に金融サービスを中心とするサービスセクターを優遇する道を選んだことを指摘したかっただけだ。それは、彼らがやはりわれわれの友人である米国と歴史的なつながりがあることを反映した尊重すべき選択だ」と述べた。
緊張関係が高まっているのは英仏だけではない。ユーロ圏のメンバーではないがユーロ圏への参加の意向を表明している国に対してユーロ圏首脳会合への出席を認めるべきだと主張するポーランドとの間でも、フランスは対立している。
外交筋によると、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアがそうした措置を要求しているのに対し、フランスは当初、断固として拒否する姿勢を示していたが、その後、毎年一部のユーロ圏首脳会議に非ユーロ圏諸国の参加も認める方向で妥協が成立した。
最近のEU首脳会議では、債務危機の深刻化を受けて支出削減策に議論の焦点が当てられてきたが、今回は、雇用や成長促進策に重点をシフトする方針だった。
しかし、すべての首脳が雇用や成長を促す必要性について合意しても、その目的を達成する最善の方法については依然として見解が一致していない。
欧州の救済ファンドに最大の貢献をしているドイツは、各国に対して強硬に財政赤字の削減と構造改革の遂行を要求。一方、スペインは、経済がマイナス成長に陥る中で財政赤字の対国内総生産(GDP)比率を現在の8%から4.4%に引き下げるという目標はほとんど達成不可能だ、と悲鳴を上げている。