『もういちど読む山川地理』
まえがき
現在の学校教育では,国民の基礎教養としての地理はほぼ中学校レベルで学習を停止している。高等学校では地歴科3科目のうち2科目以上を履修することになっているが,世界史が必修であり,いくつかの地域が日本史も必修化する中で,地理の履修者が減少しているからである。
地理を未履修のままに大学を卒業して実業界に入っていく学生諸君は,地理の基礎的な常識を身につける機会を失っている。他方,彼らを受け入れる側の企業人も地理音痴の割合が増加ている現状を十分認識しているようには見えない。彼ら自身も,海外進出あるいは店舗立地の基礎となる地理書を読む時間をとれず,必要だとは分かるがパスしている。